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高速道路の車中にて

こんにちは、木曜日の秀生です。

僕「今年は年末ジャンボ買うの?」

坪井「そうなんですよねぇ、どうしようかなって思ってます。」

僕「買わんの?」

坪井「買っちゃいます?」

僕「買わないと当たらないんだよ、町中でチャンスセンター見つけたら買うか。」

坪井「あれらしいですよ、沢山買う人より、10枚とかしか買ってない人が高額当選に当たってるらしいですよ。」

僕「そりゃそうだろ、その少ない枚数に対する入魂具合は90枚とか買ってる人の比じゃないからな。」

坪井「ユーチューバーとか何千万円とか買ってますけど、結局当たってないですもんね。」

僕「バカだなぁ、ちょっと考えたら分かんだろそんくらい。」

坪井「一買入魂って奴ですか?」

僕「当たり前だろう、神様はそういう所こそ見てる物なんだよ。」

坪井「なるほど!じゃあ僕も10枚買います!専務も10枚ですか?」

僕「俺は30枚。」

坪井「。。。」

僕「ちょっとトイレしたいからそこのパーキングで止まってくれる?」

坪井「了解でーす。」

そうして坪井君と僕は、朝に立ち寄ったコンビニコーヒーの利尿作用に苛まれてたまたま丁度よく見つけたパーキングエリアに到着したのです。

坪井「車はこの辺に停めて大丈夫ですか?」

僕「停めやすい所でいいよ。」

坪井「専務がトイレ行ってる間に折角なので僕も何か買って来ます。」

僕「ならそこまで一緒に行こう。」

僕が先に降りて、その後坪井君も車から降りてドアを閉めます。

背中で坪井君がリモコンで車をロックする「ピピっ」の音が聞こえました。

僕「さっみーな!」

坪井「もう冬っすね!」

スラックスからはみ出てしまったカッターシャツを両手でベルトの中にねじ込んでから前を向きました。

そこにあったのはチャンスセンターでした。

僕「…チャンスセンターじゃん。」

坪井「本当ですね、パーキングエリアにもチャンスセンターってあるんですね。」

僕「ちなみにそれ知ってて目の前に車停めた?」

坪井「いや、今知りました。」

僕「…だよな。」

坪井「…ですね、しかも今日は大安吉日って書いてありますね。」

な、なに!

おいおい、ちょっと考えてもみろよ。

1.宝くじの会話で盛り上がって、今日一緒に宝くじを買おうと決めた。

2.たまたまトイレに立ち寄ったパーキングエリアでチャンスセンターの目の前に車を停めた。

3.今日は大安吉日

こんな偶然あんのか、3つ揃ったじゃん。

完全に今が買い時じゃん。

僕「パーキングエリアだけど、ここで買うか?」

坪井「なんだか運命感じますよね。」

仕事の時はそうでもないが、完全に坪井君の言う通りこれは運命だと考えざるをえない状況だ。

神様が「どうぞこちらです。」て言っているようにしか感じない。

このタイミングで買わなきゃ意味が無い。

うまく行く時は、時を待たずしてもトントン拍子に事と話が進むものだ。

そういう時は流れに身を任せる勇気が必要だという事を僕も知っている。

僕「ここでブレるなよ、10枚で一買入魂だ。」

坪井「はい!しかも連番で行きます!」

僕「この野郎、乗って来たな!」

坪井「はい!専務も10枚一買入魂しますか?」

僕「俺は30枚だ。そして30枚だと合計額が9,000円になってキリが良くないから、200円のスクラッチも5枚買う事にした。」

坪井「。。。」

宝くじ10枚を握り締める坪井くん。

宝くじ30枚とスクラッチ5枚を握り締める僕。

愚然が3つ揃えばそれは「偶然」ではなく、「必然」なんだと言うことを坪井くんにしっかり説明した後、車の中では年始に入金される10億円の使い道について、仕事以上に綿密なミーティングを行った。

僕「とりあえず10億円の内、100万円は一晩で使い切ろう。」

坪井「さすが専務、大胆ですね!」

僕「当たり前だろう、こういうのはな、お金持ってる人がまず使うんだよ。」

坪井「なるほど、じゃあ僕もそうします!」

僕「まず行ったことも無いような寿司屋行くだろ、次に行った事も無いようなクラブに行くんだよ。ほんで行った事も無いような豪華ホテルに泊まるんだよ。」

坪井「さすがっすね!」

僕「当たり前だろぅ、そんくらい。」

坪井「あっ!」

僕「どうした。」

坪井「たぬきだっ!」

僕「たぬき可愛いなぁ。」

坪井「めっちゃ可愛いですね!」

僕「残りの9億9千9百万円の使い道の件なんだけど…。」

坪井「たぬき可愛いなぁ。。」

僕「本当だなぁ。」

坪井「ちょっと雨も降ってきましたね。」

僕「本当だ。」